空切りの有効性
司会「みなさんこんばんわ。テレビショッピングのお時間です。」
司会「本日ご紹介するのはこちら」
女性A「まぁ!素敵!」
司会「綺麗でしょう。今回はこの黒真珠のご紹介です。」
女性A「でもこれだけ素敵な商品だとさぞお高いんじゃないですか?」
社長「んー、そうですね、これだけのね、サイズのものをね、揃えるとなると、かなり苦労しましたね。はい。」
女性A「そうですよねぇ。社長!今回はおいくらなんですか?」
社長「んー本当にね、ギリギリなんですよね。すごくギリギリのお値段で今回はね。はい。」
社長「じゅーきゅーまんはっせんえ~」
はい、ということでね。こんばんわ。
阿部柊太朗です。
今日はテレビショッピングの話から入ります。
テレビショッピングで
「本来は39,800円のところを今回に限り...29,800円!」
みたいなの皆さん見た事あるかと思います。
テレビショッピングに限らず
「39,800円→29,800円」
みたいな表記のやつですね。
最初から「29,800円ですよ」と言われるよりもかなりお得感を感じますね。
本来は39,800円の価値のあるものを29,800円で買うことが出来たと錯覚してしまうからです。
消費者の意思決定は商品に対する情報だけでなく、周囲のあらゆる情報との比較によって行われます。
なので、意思決定には強く印象に残ったものを参考にする傾向にあるわけですね。
「39,800円→29,800円」
こういった表記によって、本来の価値観とは異なった決定を誘発してしまう現象を
アンカリング効果
といいます。
またか。またなのか。また心理学うんちくか。なんて言わずにまぁ聞いてください。
これも麻雀に通ずる部分があります。
麻雀は言わずもがな不完全情報ゲームです。
プレイヤーは数ある情報の中から有用な情報とそうでない情報を選択して打牌を決定します。
他家の意思決定に影響を及ぼす情報としては
・副露
・立直
・ドラ切り
・ターツ落とし
・手の内の面子が想定できる打牌
・最終手出し
などがあげられると思います。
青字で示した3つに関しては確定した情報です。
しかし赤字で示した3つに関しては、手出しによって印象操作が可能な部分です。
この聴牌にを引いてきたとしましょう。
この捨て牌でを空切りすると、その付近が警戒されそうですね。
の後にが手出しされるというのは他家に大きな印象を与えます。
最終手出しを更新することで他家からの印象を操作する。
アンカリング効果による読み違いを狙うわけです。
しかし今回は上家がを切っているので、むしろのマタギは通されてしまいそうです。
今回は空切りしないほうがいいのではないでしょうか。
別の例で勉強会での話。
という順序でNさんから手出しが入ります。
これだけでは辺張を落としただけにも見えますが…
Nさんは手牌の一番左からを切ってその2つ横に今引いてきたXの牌を入れたのです。
図解すると
▮▮▯▮▮▮▮▮▮▮▮▮▮
一番左から切って▯にXを入れる。
これ何に見えますかね?
というターツを落とす時、を切る時にも手牌の右端に寄せる方が多いかと思います。
つまり…
今切ったは手牌に関連していたのではないか?てかもはやこのパターンはスライドじゃねぇか?という推測が立ちます。
にを引いてになったんじゃないかと。
これだと。これしかないと。
彼には当たることはないだろうと。
後にかかった彼のリーチは流局して不発。見してみぃ。
お分かり頂けるだろうか。
Nさんは
とあるところにを引いて
を空切りしてこのように理牌したのです。
こうしてスライドに見せかけることで後のの出和了率を上げたいということでしょう。
黒い。こいつは黒すぎるぜ。
このを空切りすると他家に対して新しい情報を与えることになります。
それに今回はスライド偽装という理牌の技術が加わったことで、誤った印象を与える事が出来るわけですね。
空切りをするべきか、するべきでないかは人によって意見の異なるところなので何とも言えませんが。
他家に対して、自分の手出しがどのような印象を及ぼすかを考える。
大きな印象を与える情報は他家の判断に影響を及ぼします。
アンカリング効果。
この性質は黒く利用してやりましょう。